研究テーマの一部
1. バーチャルリアリティ空間での見え方に関する研究

現在の私のメインテーマです.
ヘッドマウントディスプレイ,HMD,VRゴーグル(これは2000年前後のHMDの製品です.)で物体を観察したり,テーマパークで立体映像を見たりする機会はそれなりにあると思います.
皆さんが見ている映像は他の人と同じものを見ているつもりですが,実際は人によって見え方が異なります.
(VR関係なく人は全く同じに世界を認識していませんが,それはまた別の話です.)
これは眼と眼の間の長さが人によって異なることが原因の一つです.
ただ,この長さをうまく調節してCGを描画しても,バーチャルな物体は本来の大きさではなく,「小さく見えたり,大きく見えたり」しているようです.
このメカニズムを解き明かそうとしている研究を行っています.
なんとなく理由はわかってきましたが,「どのようにしてそれを補正するか」はなかなか難しい問題です.
2. バーチャルリアリティシステムの構築
2025年から新たな没入型立体ディスプレイの構築を計画しています.
以下は以前知能情報学部にあったVR装置です.
新しい立体ディスプレイシステムでも同様の目的で活用することを検討しています.


この図は以前知能情報学部にあった立体ディスプレイシステムです.
ディスプレイの角度を上下左右に変化させることが可能な没入型ディスプレイです.
時分割方式の立体視が可能です.スクリーンの角度は磁気センサで計測し,コンピュータに送信しています.
この処理によって,スクリーンを移動させたときに,スクリーンの動きに映像を追従させることが可能となります.
現在は数値シミュレーション結果の可視化など,いろいろなデジタルデータの表現に利用しています.
3. 感覚提示ディスプレイ


バーチャルリアリティ空間の中で,例えば温かいものに触れたとき,本当は触れていないのに,
温かいという温度情報を提示可能なデバイスの
研究を行っています.初号機はバータイプ,二号機はブレスレットタイプ(一番右)にしました.
装着性はブレスレットタイプの方がいいですが,温度伝達性能はバータイプの方が少しいいです.
本システムは理論的に提示温度を推定できることが特徴で,
現在このシステムの様々な応用を検討しています.
これ以外でも卒業研究では様々な触覚ディスプレイの研究を行っています.
詳しくは過去の卒業研究の題名を参照してください.
4. バーチャル設計支援環境の構築 (今のところ研究は停止しています)


色々なものをバーチャル空間の中で試作ができるようなシステムの構築を行っています.
目的は設計支援なのですが,使用環境としてはバーチャル空間を考えています.
ユーザーは立体視をしながら作業を行う,過去の作業をできるだけそのままの状態(360度映像,音)で保存,
(上の画像のようなフルCG(特に数値シミュレーション)の可視化や作業支援環境の研究も進めています.)
まるでその場にいるように再生させることができるようなシステムの開発を進めています.
将来の目標は,何度も作れないような製品の設計支援に使ったり,一人称視点での作業映像を体験することで,
習熟を早めたりできるようなシステムを考えています.
本システムを実現するためには,以下の項目が必要となります.
1.360度実映像取得に関する研究
2.実映像とCG空間との相互作用に関する研究
3.実映像とCG映像の遅延のない処理手法に関する研究
4.意図をコンピュータに伝えるジェスチャや操作方法などの研究
5.CG映像のジェスチャ等による操作手法の研究
最近,Kinectが出てきたあたりから,安くて小さいセンサーが一気に使えるようになってきているので,
それらの恩恵を受けながら研究を進めています.
主に使っている機材は,HMDとKinectなどの深度センサー,力覚デバイス,さらに移動情報を伝えるためのトレッドミルなどです.
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